言ってはいけない~禁断の言葉~

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現代では迷信とただ切り捨てられる事も多いが、口にすると不吉な事が起こると信じられて来た言葉は様々な国、分野に渡り存在する。

そんな『禁断の言葉』を今回はご紹介。

1. Qワード

ERにおいて”Qワード”として敬遠されているのが、”Quiet(静か)”という単語。
それを知らない新人ナースなんかが「わあ今日は静かですね。こんなに静かなのはいつぶりかな~」なんてポロッと言っちゃおうものなら周囲の先輩たちは思わず頭を抱えるだろう。

なぜなら、その言葉を呟いた途端に救急車が続々救急患者を運び込みはじめ、老人ホームからはバスが、更に緊急を要する小児患者が到着する、なんて事になり兼ねないからだ。
同様に”Slow(遅い)”という単語もSワードと呼ばれ、不吉とされている。

(出典:7 favorite ER superstitions|kevinmd.com)

2. good bye(さようなら)

大昔の船乗りには沢山の禁句があった。
“good bye(さようなら)”や”drowned(溺死)”などの言葉は、船とその船員が無事帰還する事を確実にする為に禁じられていた。
また”good luck(幸運を)”という言葉も、逆に悪運を呼ぶとして使用不可とされていた。
しかし万が一言ってしまった場合、その後すぐに殴って血を流す事で無効に出来るとされている。

(出典:7 Most Common Superstitions of Seafarers|marineinsight.com)

3. good luck(幸運を)

演劇の世界でも舞台の開演前に”good luck(幸運を)”という言葉を使うと、悪運を招くとされている。その為、代わりに成功を祈る言葉として使用されているのが”break a leg─ブレイク・ア・レッグ”だ。
直訳すると『脚を折れ』……なぜそんな言葉を掛けるのか疑問に思う人は多いだろう。
語源としてはいくつか説があるらしい。

    • エリザベス朝時代のイギリスでは良いパフォーマンスの後には、俳優に向けて現金が投げられた。”break a leg”とは、それを拾う為に膝を折り曲げた脚のラインを指している
    • カーテンコールでお辞儀をする際に、俳優は片脚を後ろに下げて膝を曲げるが、その状態を指している
    • 観客が何度もカーテンコールを要求した場合、その度に俳優たちは袖幕を通じてステージに出なくてはならない。そして”legs”とは一般的にサイドカーテンを指す名前である事から、袖幕が破れるくらいの成功を祈る、という意味である

(出典:7 Most Common Superstitions of Seafarers|listverse.com)
(Photo: clipground.com)

4. 豚、狐(その他動物の名前)

乗船中の漁師にとって、豚、狐、猫、野兎、山羊、穴兎などの動物の名前は禁句だ。それらの動物は魔女が簡単に奪って行けるものであり、その名前を口に出すということは、魔女を船に歓迎するだけでなく魔法に掛けられてもいいと言っているようなものなのだ。

(出典:Superstitious fishermen touch wood to keep redheads at bay|independent.ie)

5. Syphilis(梅毒)

15~16世紀における梅毒に対する恐怖というのは並々ならぬものがあった。
その恐怖から、当時の医師達は文中に”Syphilis(梅毒)”という言葉を書くのを避け、代わりにギリシャ文字の”Σ(シグマ)”を使用していた。
ちなみにこの病名は、”Syphilis《シフィリス》”という名の羊飼いの青年が、太陽神アポロンを侮辱した罰として、全身が腐る業病にかかったというギリシャ神話に由来する。

(出典:9 Forbidden Words and Phrases You Must Never, Ever Say Aloud|ranker.com)
(Photo: wikimedia.org)

6. Lilith《リリス》

ユダヤの伝承では、リリスはアダムの最初の妻であり、夫に服従する事を拒否した為にエデンを追放されたとされている。
ヘブライ語の教科書において、”Lilith《リリス》”、または”lilit《リリト》”(夜の怪、夜の鬼女、鳴きわめくフクロウとして翻訳される)の名前が最初に現れるのは、イザヤ書34:14に出てくる動物のリストの中である。

シラ書などをはじめとした中世の文献によれば、リリスは『赤子を殺す女悪魔』であり、復讐心に満ちた『夜の悪魔』、そしてまた、夜通し泣き叫び続けて乳幼児を弱らせ、病気にさせる『吠える者』としても知られている。
リリスを遠ざける為のおまじないとして、”Lilith-abi!《リリス・アバイ!》─リリスよ去れ!”という言葉があるが、これが”lullaby《ララバイ》”の語源である可能性も。
12世紀のユダヤ神秘主義の書、『ゾハール』では、『死の天使』、または淫夢を見せる『サタンの妻』と記されている。

『リリスの鏡』は、魔法図を作成した後に呪文を唱える事で悪魔リリスを召喚する黒魔術である。しかし注意が必要だ。一度リリスを召喚してしまえば、彼女は大惨事を招くことも出来るのだから。

(出典:9 Forbidden Words and Phrases You Must Never, Ever Say Aloud|ranker.com)
(Photo: imgur.com)

7. Macbeth《マクベス》

劇場内で『マクベス』が『あのスコットランドの劇』や『あの詩人(シェイクスピア)の劇』などと婉曲的に表現され、直接口に出すのを避けられているのは、リハーサルや上演中のセリフ以外でその言葉を言うと最悪の不運を招く事になると信じられているからだ。

その不運の歴史は、初演にまで遡る。マクベス夫人にキャスティングされていた俳優が急死し、シェイクスピアは代役をあてる事を余儀なくされたのだ。
17世紀にアムステルダムで上演された際には、ダンカン王役の俳優が刺されるシーンを演じている最中に、小道具の短剣(本物)によって観客の目前で殺害されるという不幸に見舞われた。同様に、1947年にマクベス役の俳優ハロルド・ノーマン─迷信の類は信じない方だったという─は、真に迫りすぎた決闘シーンを演じた末に亡くなっている。
また、観客による暴動も起きている。1849年、長年のライバルである英国俳優ウィリアム・チャールズ・マクレディと米国俳優エドウィン・フォレストのファン同士が、ニューヨークのアスター・オペラ・ハウスでの上演中に衝突した際には22名死亡、100名以上が負傷する大惨事となった。

400年もの歴史ある演劇だからそのくらいの事故はあってもおかしくない、という見方をする者がいる一方で、シェイクスピアは『三人の魔女』の会話の中で本物の呪文を使ったせいで、自らの劇に呪いを齎したと信じる者もいる。どちらにしろ、用心するに越したことはない。
もしうっかりその禁句を言ってしまっても大丈夫。すぐに劇場を出てその場で3度回り、左の肩越しにツバを吐いてからシェイクスピアのセリフを暗唱するか、罵倒語を並べ立てるかすればその呪いを解くことが出来る。

(出典:Why do actors avoid the word “Macbeth”?|history.com)
(Photo: pinterest.com)

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